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青函連絡船の痕跡・摩周丸を見学【令和記念北海道周遊 #6】

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北海道と本州の間には、津軽海峡があり、それを越えるためには青函トンネル、船や空路を利用しなければいけません。開業した1988年3月以前はほとんど全てが船舶での輸送です。青函トンネル開通以前には、国鉄が連絡船を就航しており、海を越えて乗客・鉄道貨物を運搬しておりました。

 

今回訪れる摩周丸は、1959年から青函連絡船末期まで使われた船です。

 

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ちなみに、青函連絡船は、平成29年度「近代化産業遺産」に指定されました。

 

船舶としての摩周丸 

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摩周丸は、大きさ8328トン、全長132メートル、主機関12,800馬力のエンジンを携えるディーゼル船です。青森〜函館間を3時間50分(今の青函フェリーと同じくらいの時間)で結んでいました*1

 

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船室の案内図です。客は、かつては甲板の上に立つことはできませんでしたが、現在は開放されています。

 

貨物輸送

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青函連絡船は、貨物船の役割も果たしました。機関車は船内には入らず、貨物だけを船内に乗せ、揺れないように固定します。プラレールでその様子が再現されていました。

 

洞爺丸事故

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ここには、日本最悪の海難事故とされる、洞爺丸についての記録が残されています。

 

昭和29年(1954)9月26日の夕方に出航した洞爺丸は、猛烈な勢いを持って日本に接近した台風15号洞爺丸台風)の被害にあい、七重浜沖に座礁しましたが、すでに船内には多量の海水が浸入しており、しまいには大波にあおられ沈没してしまいました。この事故による死者は1155人。

 

これを「タイタニック号に次ぐ世界2番目の海難事故」として紹介することもありますが、死者数が世界で2番目に多いのはアメリカのサルタナ号事件(戦時中以外、20世紀以前に限る)*2です。さらに、21世紀に入ると、セネガルのジョラ号も大西洋のセネガル沖で2000名を超える死者を出しています。

 

個人的にはこのことを日本人から見て衝撃が2番目に大きかった事故だと捉えております。国鉄戦後5大事故の1つにも数えられています。この事件は、青函トンネル建設のきっかけとなりました。

 

客室設備について

座席設備(指定席)

ここは国鉄の管轄ですから、グリーン席という名前がここでも使われます。

グリーン席

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グリーン席の座席です。

 

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この座席は、写真右下のレバーを引くと座席かなり倒れます。レッグレストも付いているので、これもうそのまま寝れんじゃないかな、という勢いですが、船は夜間の移動も当然にしてあるわけでして、このような設備も必要なものであるということです。

 

普通席

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普通席はこんな感じ。国鉄やJRの電車の座席に通ずるところがあります。座席は倒れませんが、フットレストと机が付いています。

 

自由席

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しかし、長い船旅だから寝ていきたいという需要も大きいそうですから、自由席と称して、このように靴を脱いでカーペット敷きのところに座ったりゴロンと寝転がるという形式をとります。

 

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グリーン自由席は、一人分のスペースが増えて、コンパートメント感が増したというだけのものです。普通席と変わんないように見えますね。

 

鉄道連絡船としての摩周丸

国鉄鉄道連絡船ということもあって、錨など各所に国鉄の技術が施されております。

 

海峡浪漫周遊きっぷ

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海峡浪漫周遊きっぷとは、青函連絡船の最終期に発売されたいわゆる「おトクな切符」です。

 

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中身は、東京・首都圏方面から新幹線・特急・寝台特急を使って青森まで行き、そこから青函連絡船に乗り換え、さらにJR北海道が全線乗り放題になるという切符です。都区内から7日間コースで利用すると、24800円かかります。現在では、似たような役割を持った切符は北海道・東日本パスが担っています。

 

連絡船の時刻表

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これは青函連絡船の時刻表です。青函連絡船は、JR東日本区間からJR北海道区間へ乗り換える人が使うものでありますから、下には青森に来た特急を表す線があり、上には函館から発車する特急の案内もあります。

 

切符アラカルト

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ここでは、当時の乗船券やグリーン券、海峡周遊きっぷなどが展示されています。昭和の時代の切符ですが、マニアが大事に保存しておいたのを展示してあるわけです。青函連絡船内の案内所では、指定席券等を購入することができたらしいですね。

 

昔の鉄道旅行は思っていたよりゆっくりで優雅みたいですね。

 

操舵室

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4階の船首部には、操舵室があります。

 

可変ピッチプロペラ操縦装置

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親切にも、そこにいた係員が私たちを案内してくれました。このレバーはプロペラの強さを制御するものです。これで前進やブレーキ、後退を制御します。

 

鉄道でいうと、ワンハンドル式の運転台をイメージするとわかりやすいかと思います。

 

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このハンドルこそ、進路を制御するこの船の舵です。車のハンドルに似ていますが、鉄製です。操舵室は普通は暑くならないので、樹脂を覆う必要もありません。

 

汽笛

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ここの赤いボタンを押すと、汽笛が鳴ります。

 

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鳴らす回数によって示す意味の差があります。

 

夜間はどの船から鳴っているのかわからないので、それを知らせるために甲板上のライトも点くようです。

 

おまけ

ロープ無人販売

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ロープについての展示がありました。

 

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そういうわけで、ロープを一本100円で販売しています。

 

JR北海道よ、残っている路線はいくつあるのか

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時刻表の隣にあったポスターですが、今では廃止されてしまった路線もたくさんあります。池北線など、どこだよと思う路線も少なくありません。令和の時代も、三セク化が進むことが予想されるのは難くありません。

 

連載記事の紹介

この記事は、令和記念北海道周遊旅行シリーズの連載記事です。ぜひ他の記事もご覧ください。第一回に、全ての記事へのサイトマップがあります。

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