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社会不適合系ダメポップとはどんなものか【ナナヲアカリ】

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私がこのアーティストは面白いよ、ということはあまりないのですが、面白いアーティストを発見してしまいました。

 

「ナナヲアカリ」さんというんですね。

 

彼女の代表曲が、ダダダダ天使。

 

見ていない方は、まずはこちらをご覧ください。

 


ダダダダ天使 / ナナヲアカリ

 

※お断り:私は実は Apple Music とか Spotify とかでそこまで率先して音楽を聴くという機会はないのですが、そのため適当な論評であることをお許しください。

 

 

ナナヲアカリの作風を探る

彼女は、2014年から「バンドのようなソロアーティスト」を目指して本格的にソロ活動を開始しました。 

 

以来、さまざまな曲を歌い、プロデュースしています。

 

中毒性の高いファニーボイスと社会不適合をテーマにした楽曲が大きな特徴。

 

メジャー1stシングルである「ワンルームシュガーライフ」は、アニメ「ハッピーシュガーライフ」のOP曲に起用されているようです。

 

自分で作詞・作曲することもありますが、総じてボカロPとのタイアップ作品が多く、ナユタン星人、Neruさん、和田たけあき(くらげP)さん、はるまきごはんさんなど、大物ボカロPとコラボすることもしばしばあります。

 

ダダダダ天使

まずは、多くのMAD動画の題材になっており、代表作である「ダダダダ天使」。

 

曲中にも、「やんないんじゃない、できないんだ」「ダメダメな私を愛してね」と、まさにダメ人間っぷりをたっぷり前面に押し出しています。

 

ナナヲアカリさん自身を象徴したかのような曲ですね。

 

特に2番歌詞の甘い声がこの曲の最大のチャーミングポイントです。

 

ディスコミュ星人


ディスコミュ星人(Discommunication alien) / ナナヲアカリ

「ディスコミュ星人」は、彼女が有名になるきっかけとなった曲の一つです。

 

先述のダダダダ天使にも「ディスコミュ系」という歌詞がありますが、

 

ディスコミュ系とは、コミュニケーション能力にかけている、端的に言えば「コミュ障」です。「ディスコミュ星人」も「ディスコミュ系」と同等の意味が込められていると思われます。

 

その様子と理想と現実の対比が、現実味を感じさせ、なんとも愛嬌のある曲調になっています。

 

一生奇跡に縋(すが)ってろ


一生奇跡に縋ってろ / ナナヲアカリ

いつもはポップでチャーミングなサムネイル画像なのに、なんかこの曲だけテイストが違うので取り上げます。

 

渋谷の街などを背景にしていて、彼女のMVにしては珍しく実写シーンが多めです。

 

世界の調子に乗っているヤツらを悲観し、この世の愚かさに対して文句を主張しているという歌詞の内容で、

 

真にネガティブを極め尽くしたような曲になっています。どこか悲しさもあるようにも聞こえますね。今までにあまりない種類の曲ではないでしょうか。

 

ナナヲアカリさんといえば、先の2曲のような可愛い歌声の持ち主なのかと思っていたら、

 

それに限らず、こういう地獄っ気のあるダークな歌い方もできるんだと、感心しますね。

 

お釈迦になる

www.youtube.com

彼女の曲の中でも、一番異彩を放っているのが、「お釈迦になる」。

 

釈迦という、仏教では尊むべき存在について、現代のポップスに取り入れたらこんな風になるのかと、

 

「葬式はEDMみたいに」なんて、仏道信仰の強い中世の人が聞いたら仏に適当に帰依しているだろこの不忠者めと思うでしょうが、

 

今は令和(この曲が発表されたのは平成30年)ですから、このような表現も、

 

クリスマスの後にお正月をやり、仏教的に葬式をやるという現代の若者の適当な宗教思想を映し出しているという背景が裏に現れていると思います。

 

新喜劇の小藪さんが仏教ディスコをやったことがありますが、あれに通ずるものもあるのでしょうか()。

 

恐らく、死んで楽になりたいという適当な気持ちをポップに包み込んだと、そのように言えるでしょう。

 

ダメポップとはなんなのか

さてここでダメポップとはどんなものかと思いますが、日々を適当に生きていたいという人間のダメなところを、受け入れ、時に批判し、

 

それをおもしろかわいく歌っているところに、ナナヲアカリさんの曲の趣向があるのだろうと思います。

 

特にラップパートでは、自らのだらけていたいという欲とか、でも自分を良くしたいとかいう欲を

 

現代の若者の愚痴の喋り方をそのまま再現したような語り口調でもって歌にするということは非常に興味深く、

 

ナナヲアカリさん自身の、一般的なボカロのそれとは異なる、ファニーで刺激的な、天賦の歌声が聴く者の心を見事に突き動かすのです。

 

そしてその歌声が近年急増しているコミュ障・社会不適合者たちのニーズにぴたりと合致した、それがナナヲアカリさんが人気である最大の理由であると思います。

 

このような声に惹かれて、ファンになった人も少なからずいることでしょう。

 

まあ私は飽きが早いので、数週間も経てばどうせまた興味を失っているでしょうけども。

 

おまけ:Eveさんという歌い手


インスタントヘヴン feat.Eve / ナナヲアカリ

インスタントヘヴンで、Eveさんという歌い手が一緒に歌っていました。彼は何者なのか。

 

登録者とりあえずチェk…

 

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は!?(驚嘆と納得*1

 

彼の代表作は「惑星ループ」や「ナンセンス文学」、「ドラマツルギー」「あの娘シークレット」などで、ニコニコ時代も含めると10年以上歌い手活動をされているそうです。恐れ多い…

 

作風の系統もなんだか似ていますね(むしろこっちの方が先??)。流石にナユタンテイストは強いですが。

 

実を言うと私はこちらの分野についてはあまり詳しく無いですが、当世の若者の感情に響くような音楽ということで、私も心得ておきたいです。

 

*1:知人にEveファンがいたので、この人誰かなと思っていましたが、流石に120万人も登録者がいたらあまねく知られる存在にもなるわ。