Wisdom Station 三元乗換点

Wisdom Station SanGen Transfer Point

「罷る」とかいうカッコいい古語

突然ですが、この漢字、なんと読むかわかりますか?

f:id:sangen03:20190624235307p:plain

 

側からみたら、罷免の罷の字に送り仮名が付いていて、イメージ悪いな、と思う人も多いはずです。

 

 

実は、この漢字の読みは、

 

「まか-る」

 

です。

 

たとえば、「退出いたす」、とかいう風に訳し、「去る」の謙譲語の意味を持ちます。万葉集にこのような俳句が載っています。

 

「憶良らは 今は罷らむ 子泣くらむ それその母も 吾(わ)を待つらむそ」

 

これは、奈良時代歌人山上憶良が詠んだ和歌です。新元号「令和」の由来となった梅花の宴に参加したとされている人物の1人ですね。

 

憶良が宴から帰るときに、「憶良は退出いたしましょう。子が泣いているでしょうし、その母も私の帰りを待っているでしょうから」という意味の和歌を詠みました。「らむ」は現在推量・伝聞婉曲の助動詞ですからね。

 

しかし、山上憶良なんて、今から1300年も昔に生きた人間ですから、そんな時代に使われている言葉とかいうのは古語中の古語で、そんなものとっくの昔に死語になっているだろうと思うものですが、現在でもこの言葉というのは複合語として会話の表舞台に登場する時があります。

 

その1つが、「まかり通る」という表現。「賄賂がまかり通る」など、通用するという意味で使われていますね。他にも、謙譲・丁寧・強調の意味で動詞の前に付いて使われたりします。意味はいいとは限りませんが、響きがかっこいい言葉の1つですね。