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湯檜曽駅に谷川の温泉風情を求めてバカ歩き【2022夏休み企画#9 水上→長岡 上越編-2】

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さて、14時15分、水上に着きました。

 

今回は、暇つぶしに水上から湯檜曽までバカ歩きしたあと、普通列車に乗って長岡へへぎそばを食べにいく話です。

 

2022夏休み企画サイトマップ

sangen03.hatenablog.com

 

田舎の町水上

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水上駅の時刻表を見てみましょう。高崎方面はなんとか1時間に1本確保されていますが、長岡方面の列車は、なんということでしょう、1日5本しかないではありませんか。

 

次の列車まではなんと3時間半待ち、17時50分発までありません。越後中里や越後湯沢始発の列車を含めるともう少しあるのですが、やはり県境で一気に本数が少なくなります。

 

湯檜曽探訪

土合方面は谷川岳ロープウェイ、土合駅湯檜曽駅など山の観光地がたくさんありますが、今の自分の装備で谷川岳ロープウェイへ行くのは危険な気がするので、やめておきます。足元がどういう状況かわからないし、もう少し晴れた日にやるべきものですよね。山の天気は変わりやすいのです。

 

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水上周辺の観光地は離れていることが多く、バスの利用が便利です。登山客を多く運ぶバスは本数も1時間に1本以上確保されていて多く、シーズンになると立ち客が多く出るほどです。

 

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私は、湯檜曽駅へ行くことを検討しました。でもバスに乗ると410円と高い。徒歩で行けるんじゃねえかと。54分、まあ余裕で行けますよ。湯檜曽駅からの電車の兼ね合いがあるので寄り道はしません。

 

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SL広場とその向こう側に立ちはだかる谷川岳です。転車台やSLの展示や解説などがあり、SLの静態保存も動態保存も行っている貴重な場所です。

 

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この先国道291号線を右に行って道なりですね。

 

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ところがこの国道291号線、世間では酷道として名高い道です。私は看板の右方向に歩くことになる*1わけですが、山を越えるなら越後湯沢か清水峠とか魚沼とか長岡の文字があってもいいはずです。それがなく、「谷川岳」。

 

そう、この先291号線の車道は土合駅を越えた先でストップしているんですね。車道が整備されているのは一ノ倉沢、一般車がまともに立ち入れるのは谷川岳ロープウェイの土合口駅前までです。そこから先、鉄道は谷川岳、越後湯沢のある南魚沼郡湯沢町の土樽方面へ抜けていきますが、国道は清水峠を越えて南魚沼市旧塩沢町清水方面、土樽方面とは別の谷に抜けていくんですね。

 

「写真はイメージです」

一の倉沢の景色をパッケージに描いているfrom AQUAのペットボトルで代用。かつて一の倉沢から清水の集落までを含む区間というのは明治時代の3年間くらいは馬車が行き違いができる道路として当時最新鋭の技術を用いて建設されましたが、至る所で道路が崩落したり、場所によってはどこが道かすらわからないような廃道同然の道となってしまいましたが、依然国道の指定はあり、全面通行止めとはいうものの登山客が清水峠へ向けて挑んでいく酷道として名を馳せています。その過酷さは、この水のパッケージの山々を見れば理解できるでしょう。JR東日本の駅やNewDaysなどで購入することができます。

 

まあ土合からは土樽方面にしろ清水峠方面にしろガチ登山装備で挑むことになるわけです。いつかちゃんとした装備で谷川岳国道291号線を登ってみたいですね。

 

そして現在、谷川越えの道路は江戸時代からの通りである国道17号線(三国街道)や関越自動車道に任されるのであります。

 

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渡っている川は利根川です。きれいな水流と、上流特有の大きな礫が目立ちます。

 

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さあ、国道291号、元気に散歩の始まりだと、そう思って最初のカーブを曲がったら、なんじゃこりゃー。いきなり工事中なんですね。新しい融雪装置を道路の真ん中に埋め込む工事をしていました。

 

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そしてそこから10分しないうちに、次の工事現場が。今度は落石防止の工事。どちらも片側通行。こんなところを徒歩で行くバカはそうそういません。やはり酷道の厳しさの片鱗を感じる物です。こんなに凄い道なんですね。

 

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ここからは集落や店などが続く区間となります。うのせ温泉という温泉も見られます。規模は小さいものの色々な温泉が集まっています。

 

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うのせ温泉付近で、修学旅行バス6台とすれ違いました。川口市と書いてあったので、私たちの街の水源を見に行こう的なやつなんですかね。それだったら秩父の方が適している気がするのですが。

 

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こんなところに若旅民芸店という店があります。蕎麦屋ですが、貴重な看板類や昭和レトロなものをたくさん揃えています。山奥にこんなのがあるなんて驚き。入店しませんでいたが、個人で集めた日本一ということで、なかなか面白そうなお宝を所蔵しているところでありました。これは歩かないと見つけられませんでしたよ。水上の隠れた名所です。

 

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他にも、大穴地区には町営住宅や石器時代の遺跡、寂れたスキー場なんかがあります。

 

そして、左上の尾根沿いに何やら送電線が見えます。この送電線はJR東日本の所有物であり、新潟県にある信濃川発電所で作られた電気を関東方面に送電しています。六日町の方から険しい清水峠を通って後閑駅付近にある桃山開閉所、埼玉県岡部変電所、そこからは首都圏の変電所に入り、山手線など首都圏各線の電車を動かす大量の直流電源を賄っているわけです。その清水峠の山中にもJR東日本の巡視小屋があって同社の大動脈たる電線を監視しているわけです。大した物だ。

 

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左のところにバス停があります。この辺りにはJR東日本の水上変電所があり、JR東日本の列車の運行に役立てているわけです。

 

ここから先、左奥は行き止まりの車道になりますが、徒歩なら左に向かっても歩道橋があるので大丈夫ですが、その歩道橋も大変古く、かなり古い雰囲気を味わえます。

 

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絶対徒歩で渡るべきではないような道路を通ります。まあ工事現場のところ通過するところからずっとですが。ここでJRの線路を跨ぎます。よくこんな山奥で複線になってますよね。

 

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ここで交差点があります。山奥の幹線道路という感じ。まあ元から山奥ですが。

 

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完全に徒歩で来ることを想定されていない看板です。左が土合方面行き止まり、右が藤原ダム矢木沢ダム、奈良沢ダム方面です。尾瀬国立公園を経て、沼田や日光方面にも続いていると言われています。13km先のキャンプ場…車で来ること前提ですがここまで歩いてきた私ならそうせざるを得ないことをよく知っています。

 

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大穴歩道橋。いかにも手入れされないで錆びている感じ、昔からある感じがあります。

 

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白いシャツが見えるぞと思ってズームしたら、キャンプ場でした。この辺りにはたくさんキャンプ場があって山の自然を楽しむことができます。山もいいですね。列車の窓ガラスは曇ってて外の景色見られないからいろいろな気付きがありました。

 

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ちなみに、先ほどの川は湯檜曽川という利根川の支流になっています。この写真は分岐点付近の様子をパノラマ撮影した様子です。湯檜曽駅はもうすぐ。

 

もぐら駅湯檜曽

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湯檜曽に着きました。間に合いましたね。郵便局、電話ボックス、なかなか文明を感じられるようになってきました。湯檜曽温泉の最寄駅で、もし日帰り温泉に入るならここで入るのが良いのですが、湯檜曽駅の探検をしたかったのでやめました。

 

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SL公園で寝転んでいた2名のおじさんと工事中の従業員や、サイクリスト1名を除いては、水上駅から車に乗っていない誰とも会うことがありませんでした。いかに田舎を徒歩で移動することがアホらしいかがわかります。もう少し奥まったところへ行けばハイキングともなるのでしょうが、今日はハイキングの天気じゃないですしね。幸い私は雨をあまり被りませんでしたが。

 

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古くからある案内板。土合は下り線へは10分以上かかりますが、ここはトンネルに入りたてでそうでもありません。

 

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整理券というか、乗車駅証明書を発行しましょう。鶴見線とかにもこんなのありますよね。券売機はないですから、やはり乗車の時に必要な券になるわけです。この手のものは普通乗車人員の分だけ用意して回収される話になってますね。水上駅でばっちり回収されました。

 


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湯檜曽駅下りホームはこんな感じでトンネルの中になっています。長いホーム。ただし声がよく響き、そして電波は入らないので注意が必要です。急いで撮ったのでブレブレですね。

 

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清水トンネル開口部。トンネルの穴が駅から見える駅というのもなかなかないですよね。土合、上毛高原土樽駅でも(旧)/新/大清水トンネルの出入口が見えます。よく考えたら東戸塚駅も駅舎から清水谷戸トンネルの坑口が見えるので実質東戸塚も仲間ですね(????)。

 

実際に清水谷戸トンネルも上越国境ではないですが武相国境を越えていて旧道と新道があるいるのであながち間違いではないかもしれません。しかし、あちらとこちらでは越えづらさがまるで違います。武相国境は国道なら簡単な切り通しを作るだけで十分で国境を意識しないほどの丘歩きですが、上越国境越えは武相国境の10000倍辛い登山です。

 

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駅ノートがありますが、私は書かない主義なので遠慮してます。こういう人もいていいですよね。なんか私は思い出を共有するということが苦手なんでしょうか。道理でSNSも下手なわけです。

 

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これがかの有名な湯檜曽ループです。ぐるぐるして距離を稼ぐことで鉄道が苦手な勾配を克服しています。

 

初にお目にかかります、新潟のハムサンドことE129系です。ここから一駅乗車、あっという間に水上駅に連れ戻されます。疲れたし清水トンネルで窓ガラスが曇っていたので景色は見ませんでした。驚いたのが、湯檜曽駅でも割と乗降があったことでした。

湯檜曽1543→水上1548

 

水上待ちぼうけ

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水上は本当に何もありません。かつてはかなり栄えていたそうですが、今じゃ廃墟の街です。一応水上温泉日帰り温泉はなくはないのですが、素直に入ればいいものを部屋が狭いなど悪いレビューを見てしまったせいで入りたくなくなって、水上そばも水上まんじゅうも売り切れ。2時間ほど強制待機です。

 

大変なことになってしまいました。キヤ4連がきたり、貨物や機関車の単機回送がきたりしましたが、まあいくらキヤのレール運搬車(上沼垂工臨)が来たからといって気分が復活するわけではありません。越後湯沢の酒の湯もこの時間から行ったら営業終了ですので、仕方なく宿泊予定地の長岡まで向かいます。青春18きっぷの旅なのであんまり背伸びをしないことにしました。

 

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水上1750→越後湯沢1823-47→長岡2003

夜の列車なので、虫がよく入ってきます。首都圏近郊ではそもそも入ってこないか、入ってきても気にもとめないですよね。

 

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越後湯沢駅でしばらく停車したので、駅周辺を物色。新潟県初上陸です。ここにはおいしい糀カフェがあるのですが、温泉の後に飲むべきものですねこれは。だから後の旅の楽しみに取っておきます。

 

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六日町で高校生たちの乗車がありました。上越線の越後湯沢以降はあまり存在感のない駅が多いです。しかし、ほくほく線の分岐駅六日町、新幹線の停車駅浦佐只見線の分岐駅小出、飯山線の分岐駅越後川口小千谷市の中心駅小千谷信越線の分岐駅宮内と、結構全国区には知られていないものの地元民からは少し大きめの駅だよねと言って親しまれている駅が結構あるものです。只見線は近々11年ぶりの復活をするようです。どんな路線なのかワクワクですね。

 

長岡のご褒美へぎそば

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長岡に到着。今宵は長岡のとても安くて快適なカプセルホテルに宿泊します。カプセルホテルは横に慣れてコスパいいってことに気づいたので今度からカプセルホテル愛用しようかな。

 

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全く見たことのない地名ばかり。新潟とか、関東の人からしたら日本海側(糸魚川〜青森)ってあんまりパッとしないですよね。人によっては北陸もパッとしない人多いと思いますが。

 

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へぎそばを食べたいと思って、小嶋屋に来ました。長岡の駅ビルにも入っていますが、こちらは本店の一軒家です。部屋でゆっくりして出発したら、ラストオーダーが21時ということで、なんとかぎりぎり滑り込めました。店内には私以外誰もいません。危うく晩飯難民になってまずい弁当を嘗めるところでしたよ。

 

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へぎそばと野菜天丼セットです。やっぱり僕は炭水化物に釣られました。まあお米の美味しいところだからいいでしょう。これで1760円もするんですね。奮発しました。高すぎです。蕎麦だけ頼めば半分くらいの値段になったのに。それでも900円くらい取ってきますからね。まあチェーンじゃないとこんな感じの値段じゃないとやってられないですよね。

 

厳選された布海苔という海藻をつなぎに使ったそばで、かみごたえ十分味十分です。これは本当に美味いそばで、やはりそこらへんの蕎麦とは格が違うわけです。そば湯の一滴まで抜かりありません。そのまま飲んでも美味。

 

そりゃこんだけ金もとるわけだ。店内、明らかに厨房のスペースに余裕が見えますよね。ファストフード業界ではフロアスペースに押し潰されがちな厨房ですが、ここの厨房は格と余裕があります。

 

ノリで頼んだ野菜天丼、旬のキノコや茄子やかぼちゃ、こだわって揚げてるんですね。素材の旨味が引き出せています。ご飯も普通のよりなめらかで家の炊飯器で炊いた時と比べてねばっと感が全然ないんですね。むしろもちっと感しかないみたいな。米までこだわっているとは、恐れ入りました。

 

大崎で食べた朝ご飯とは実に対照的だった晩ご飯。まあ水上・越後湯沢の不運も、この味覚を得るためならチャラですよね。

 

*1:実は大穴はかなり湯檜曽の近くで尾瀬方面に分岐するところ、左から来たが看板が同じなので使い回し